全国に約190社の都市ガス事業者(一般ガス導管事業者)が存在し、需要家数は2,741万件に上ります。しかし、都市ガスの供給エリアは国土面積の約6%にとどまっており、引越し先や新築予定地によって利用できる会社がまったく異なります。

居住地の都市ガス事業者と供給エリアを、地域別に整理します。自分の住所がエリア内かどうか調べる方法も合わせて解説します。

都市ガス会社はいくつある?業界全体の規模は?

2025年1月1日時点で、日本全国の一般ガス導管事業者は190社(私営172社・公営18社)です。需要家数は2,741万件(家庭用2,618万件・商業用95万件・工業用23万件)で、電気と並ぶ重要なエネルギーインフラとして機能しています。

ただし、都市ガスが供給されるエリアは全国土の約6%に限られます。電力の送配電網が全国につながっているのと異なり、ガスの導管網は地域ごとに独立して整備されているため、全国を一本の管でつなぐ仕組みにはなっていません。LNG(液化天然ガス)の受入基地を起点として扇状に敷設されてきた歴史的な経緯から、都市部に集中する構造が続いています。

2017年の自由化で何が変わった?

2017年4月のガス小売全面自由化により、家庭用も含むすべての規模の需要家が供給会社を自由に選べるようになりました。これに合わせて事業類型も再編され、従来の一般ガス事業者という区分は廃止されています。現在は下記の3類型に分かれています。

事業類型役割
一般ガス導管事業者導管(パイプライン)を保有・維持し、ガスを輸送する
ガス小売事業者消費者に直接ガスを販売する(導管会社と別法人になる場合も)
ガス製造事業者LNG基地等でガスを製造・製造代行する

大手4社は2022年4月に導管事業を別会社に分社しており、たとえば東京ガスが小売を担い、東京ガスネットワークが導管を担う体制になっています。


大手4社の供給エリアと規模は?

都市ガス大手4社(東京ガスネットワーク・大阪ガスネットワーク・東邦ガスネットワーク・西部ガス)で、全国のガス供給量の約8割を占めます。

会社名供給エリア需要家数導管延長
東京ガスネットワーク東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・栃木・群馬約1,230万件約63,634km
大阪ガスネットワーク大阪・兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山・岡山約765万件約51,819km
東邦ガスネットワーク愛知・岐阜・三重約258万件約30,609km
西部ガス福岡・熊本・長崎約130万件約10,221km

東京ガスネットワーク

首都圏の一都六県(東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・栃木・群馬)を供給エリアとする、国内最大の都市ガス導管事業者です。需要家数は1,230万件超で、全国の約4割を占めます。東京23区はほぼ全域でガスが利用可能で、多摩地区や郊外の市部にも広く導管が整備されています。

同じ関東圏でも、京葉ガス(千葉県北西部)・武州ガス(埼玉県南西部)・大東ガス(神奈川県一部)など、地域特化型の事業者が一部エリアで並立しています。

大阪ガスネットワーク

関西2府5県(大阪・兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山)に加え、中国地方の岡山県にも供給エリアを持つ国内第2位の事業者です。需要家数は765万件。大阪市・神戸市・京都市など大都市圏を中心に、奈良や和歌山の郊外部にも導管が伸びています。

東邦ガスネットワーク

愛知・岐阜・三重の東海3県を供給エリアとし、名古屋市・岡崎市・豊田市・四日市市など製造業の多い地域に広く供給しています。需要家数は258万件。東邦ガスネットワーク以外にも、豊橋市周辺ではサーラエナジー、岐阜県大垣市では大垣ガスが独自のエリアを持っています。

西部ガス

福岡市・北九州市を中心に、熊本県・長崎県北部にも供給エリアを持つ九州最大の都市ガス事業者です。需要家数は130万件。2021年に持株会社制へ移行し、西部ガス・西部ガス熊本・西部ガス長崎・西部ガス佐世保などグループ各社で事業を展開しています。


地域別・都市ガス会社一覧(全国版)

各都道府県の主な事業者と供給エリアを地域ごとに整理します。なお、供給区域は市区町村内でも一部に限られるケースがあります。詳細は各社または日本ガス協会の検索サービスで確認してください。

北海道

会社名主な供給エリア
北海道ガス札幌市・函館市・小樽市・千歳市・恵庭市・北広島市・石狩市・北斗市・北見市
旭川ガス旭川市・江別市・東神楽町
釧路ガス釧路市・釧路郡釧路町
室蘭ガス室蘭市・登別市
帯広ガス帯広市
苫小牧ガス苫小牧市
岩見沢ガス岩見沢市

北海道は広大な面積に対して都市ガスが供給されるのはおもに都市部に限られます。旭川市以北・道東・道北の農村部は都市ガス非対応エリアが大半です。

東北(青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)

都道府県会社名主な供給エリア
青森県青森ガス青森市
青森県弘前ガス弘前市
青森県八戸ガス八戸市
青森県黒石ガス黒石市
青森県五所川原ガス五所川原市
青森県十和田ガス十和田市
岩手県盛岡ガス盛岡市・滝沢市
宮城県仙台市ガス局仙台市・多賀城市・名取市・富谷市・利府町・大和町・大衡村
秋田県東部ガス秋田市
秋田県能代エネルギーサービス能代市
秋田県にかほガスにかほ市
山形県山形ガス山形市
福島県東部ガス郡山市・いわき市・本宮市
福島県東北ガス白河市・西郷村
福島県福島ガス福島市・伊達市

宮城県の仙台市ガス局は政令指定都市が直営する数少ない公営ガス事業者で、345,000戸超に供給しています。岩手県は盛岡市周辺のみ、秋田県は県内3都市のみが対応エリアで、両県とも大半の地域ではプロパンガスが使われています。

関東・甲信越・静岡

都道府県会社名主な供給エリア
東京都東京ガスネットワーク東京23区・八王子市・立川市・武蔵野市・調布市・町田市など多摩地区各市
神奈川県東京ガスネットワーク横浜市・川崎市・相模原市・藤沢市・鎌倉市・横須賀市など
神奈川県大東ガス厚木市・海老名市など
千葉県東京ガスネットワーク千葉市・松戸市・柏市・木更津市など
千葉県京葉ガス市川市・船橋市・習志野市・八千代市・浦安市など北西部
千葉県大多喜ガス茂原市・袖ケ浦市・市原市など
埼玉県東京ガスネットワークさいたま市・川口市・草加市・越谷市など
埼玉県武州ガス川越市・所沢市・狭山市・東松山市など
茨城県東京ガスネットワーク水戸市・つくば市・日立市・土浦市など
茨城県東部ガス水戸市周辺の一部エリア
栃木県東京ガスネットワーク宇都宮市・小山市・栃木市など
群馬県東京ガスネットワーク前橋市・高崎市・太田市など
山梨県山梨ガス甲府市・昭和町
新潟県北陸ガス新潟市・長岡市・三条市・上越市・柏崎市
新潟県新発田ガス新発田市
新潟県越後天然ガス見附市・南魚沼市など
長野県松本ガス松本市・塩尻市
長野県上田ガス上田市・東御市
長野県諏訪ガス諏訪市・岡谷市・茅野市
静岡県静岡ガス静岡市・浜松市・富士市・沼津市・富士宮市など

関東エリアは東京ガスネットワーク一色に見えますが、千葉北西部の京葉ガス、埼玉南西部の武州ガスなど、地域特化型の中堅事業者が一定のシェアを持っています。山梨県は甲府市周辺のみが都市ガス対応で、長野県も都市ガスは主要都市に限られます。

東海・北陸(愛知・岐阜・三重・富山・石川・福井)

都道府県会社名主な供給エリア
愛知県東邦ガスネットワーク名古屋市・岡崎市・豊田市・一宮市・春日井市など県全域
愛知県サーラエナジー豊橋市・豊川市・田原市など東三河
岐阜県東邦ガスネットワーク岐阜市・多治見市・可児市など
岐阜県大垣ガス大垣市
三重県東邦ガスネットワーク四日市市・津市・桑名市・鈴鹿市など
三重県上野都市ガス伊賀市(旧上野市地区)
富山県日本海ガス富山市・高岡市・射水市・中新川郡立山町
富山県高岡ガス高岡市(一部地区)
石川県金沢ガス(金沢市企業局)金沢市・野々市市
石川県小松ガス小松市
福井県福井都市ガス福井市
福井県越前エネライン越前市
福井県敦賀ガス敦賀市

北陸3県は電化率が高く、プロパンガスやオール電化が主流です。石川県の都市ガス普及率は約18%と全国平均(47%)を大きく下回ります。東邦ガスネットワークは東海3県に広大なネットワークを持ちますが、愛知県東部(東三河)ではサーラエナジーが独自のエリアを運営しています。

近畿(大阪・兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山)

都道府県会社名主な供給エリア
大阪府大阪ガスネットワーク大阪市・堺市・豊中市・吹田市・高槻市・東大阪市など府全域
兵庫県大阪ガスネットワーク神戸市・姫路市・西宮市・尼崎市・加古川市など
兵庫県洲本ガス洲本市(淡路島)
京都府大阪ガスネットワーク京都市・宇治市・長岡京市・亀岡市など
京都府丹後ガス宮津市・京丹後市など
奈良県大阪ガスネットワーク奈良市・生駒市・橿原市など
奈良県大和ガス大和高田市・御所市・桜井市など
滋賀県大阪ガスネットワーク大津市・草津市・彦根市など
和歌山県大阪ガスネットワーク和歌山市・海南市など
和歌山県新宮ガス新宮市

大阪ガスネットワークが関西圏全体を面的に押さえているため、大手4社の中でも最も供給エリアが分散している事業者です。京都府北部や和歌山県南部など、大阪ガスネットワークが届いていないエリアでは小規模な地域事業者が対応しています。

中国・四国(広島・岡山・山口・鳥取・島根・香川・愛媛・徳島・高知)

都道府県会社名主な供給エリア
広島県広島ガス広島市・呉市・三原市・尾道市・東広島市・廿日市市・福山市・府中町・海田町・坂町
岡山県大阪ガスネットワーク倉敷市・岡山市など
岡山県岡山ガス岡山市(一部地区)
山口県山口合同ガス下関市・宇部市・山口市・防府市・周南市など
鳥取県鳥取ガス鳥取市
香川県四国ガス高松市・丸亀市・坂出市・善通寺市など
愛媛県四国ガス松山市・今治市・新居浜市など
徳島県四国ガス徳島市・阿南市など
高知県四国ガス高知市・南国市など

広島ガスは大手4社に次ぐ規模の中堅事業者で、広島市を中心に県内主要都市をカバーしています。四国4県は四国ガス1社がほぼ全域をカバーしており、域内の競合は限られています。島根県は都市ガス供給エリアが非常に限られており、大半の地域ではプロパンガスが利用されています。

九州・沖縄(福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)

都道府県会社名主な供給エリア
福岡県西部ガス福岡市・北九州市・久留米市・大野城市など
福岡県大牟田ガス大牟田市
佐賀県佐賀ガス佐賀市
佐賀県鳥栖ガス鳥栖市・基山町
佐賀県唐津ガス唐津市
佐賀県伊万里ガス伊万里市
長崎県西部ガス長崎長崎市・諫早市
熊本県西部ガス熊本熊本市・合志市
熊本県天草ガス天草市
大分県大分ガス大分市・別府市・由布市
大分県エコア中津市
宮崎県宮崎ガス宮崎市・都城市・延岡市
鹿児島県日本ガス鹿児島市
鹿児島県南日本ガス薩摩川内市・霧島市(国分地域)
鹿児島県国分隼人ガス霧島市(隼人地域)
鹿児島県出水ガス出水市
鹿児島県加治木ガス姶良市
鹿児島県南海ガス奄美市
沖縄県沖縄ガス那覇市・浦添市・豊見城市・宜野湾市・中城村・西原町・南風原町

九州は西部ガスグループが福岡・熊本・長崎をカバーするものの、佐賀・大分・宮崎・鹿児島では各都市に独立した地域事業者が存在します。鹿児島県は7社と事業者数が多い一方、1社の供給エリアが市単位と狭く、他市への引越しで事業者が変わります。


図解:都市ガス会社の規模構造

全国190社の規模構造を3層のピラミッドで示しています。頂点の大手4社(東京ガスネットワーク・大阪ガスネットワーク・東邦ガスネットワーク・西部ガス)だけで供給量全体の約8割を担っており、需要家数は合計2,380万件に上ります。中段の準大手5社は地域の主要都市をカバーし、底辺の約180社が市区町村単位で独立した供給エリアを持つ中小事業者です。上層ほど1社あたりの影響範囲が広く、引越し先が関東・関西・東海のいずれかであれば大手の管轄に入る確率が高い一方、地方都市では地域専業の事業者が担当しているケースが多くなります。

【全国190社の規模分布イメージ】

都市ガス会社の規模構造

自分の住所が都市ガスのエリアか調べる方法は?

居住地が都市ガスの供給エリアかどうかを調べるには、日本ガス協会が提供するガス事業者検索サービスが最も確実です。市区町村名を入力するだけで、その地域を管轄する一般ガス導管事業者を確認できます。

ガス事業者検索(日本ガス協会) https://www.gas.or.jp/jigyosya/

検索の手順は以下のとおりです。

  1. 上記URLにアクセスする
  2. 都道府県を選択するか、市区町村名をフリーワードで入力する
  3. 該当エリアを担当する事業者名と連絡先が表示される
  4. 事業者の公式サイトで詳細な供給区域(町名・番地レベル)を確認する

同じ市内でも、地区によって供給区域の境界が異なる場合があります。特に都市の郊外部や住宅新開発エリアは、導管が未敷設のことも多いため、町名レベルでの確認を推奨します。


図解:供給エリアの確認フロー

引越し先や新築予定地が都市ガスのエリア内かどうかを3ステップで確認する手順を示しています。まず日本ガス協会のガス事業者検索に市区町村名を入力して担当事業者を特定し、次にその事業者の公式サイトで町名レベルまで絞り込みます。エリア内であれば引越し2週間前を目安に開通申込みへ進み、エリア外であればプロパンガスかオール電化の選択に切り替えます。同じ市内でも丁目単位で対応が分かれることがあるため、市区町村名だけで判断せず公式サイトでの最終確認が必要です。


都市ガスのエリア外ならどうする?

都市ガスが利用できない地域では、プロパンガスかオール電化(電気のみ)の2択になります。それぞれの特徴を下表で比較します。

比較項目プロパンガスオール電化
月額の目安(標準家庭)9,000〜11,000円8,000〜12,000円(電力プランによる)
初期費用低い(設備は無償貸与が多い)高い(IH・エコキュート等で50〜100万円)
停電時の使用可能(ボンベ直結)基本不可
供給会社の選択肢複数社から選べる電力会社を選択
太陽光との相性中程度高い(自家消費で電気代を削減)

プロパンガスは供給エリアを問わず全国どこでも利用でき、月々の料金も地域の複数社を比較・交渉することで抑えられます。東日本大震災や能登半島地震の際も、ボンベ交換によって早期使用再開が可能だったという実績があり、防災面でも評価されています。

オール電化は太陽光発電と組み合わせると長期的なコスト削減が期待できますが、初期投資が大きく、調理がIHに限定されるため、家族の使い勝手も考えて判断することが重要です。

すでにプロパンガスをご利用されており、ガス代を安くするために都市ガス利用を考えていらっしゃる方には、プロパンガス会社の切り替えによってガス代を大きく下げるという選択肢もあります。

プロパンガス料金を節約したい

プロパンガス料金を安くするために色々な会社を比較して見ていくのがベストです。

ぜひガス代を安くしたいと言う方は一度調べてみることをおすすめします!

そしてそれをできるサービスがプロパンガス料金比較サービスのガス屋の窓口です。

プロパンガス会社の仲介サービスは他にもいくつかありますが、ガスのプロフェッショナルな方々が最適なガス会社を選定し、解約手続きまでを代行してくれるため、安心して切り替えることができるのでとてもおすすめです。

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よくある質問

Q. 都市ガス会社は全国にいくつありますか?

2025年1月1日時点で、一般ガス導管事業者は190社(私営172・公営18)です。このうち大手4社(東京ガスネットワーク・大阪ガスネットワーク・東邦ガスネットワーク・西部ガス)で全国の供給量の約8割を占めます。残り約150社が地域特化型の中小事業者として各都市で運営しています(出典:日本ガス協会)。

Q. 引越し先の都市ガス会社を調べるにはどうすればいいですか?

日本ガス協会のガス事業者検索(https://www.gas.or.jp/jigyosya/)で市区町村名を入力すると、担当事業者を調べられます。同じ市内でも地区によってエリア外となる場合があるため、町名レベルでの確認も必要です。事業者が見つかった場合は、その会社に直接連絡して開通手続きを進めてください。

Q. 都市ガスの供給エリアはどのくらいの広さですか?

国土面積の約6%が都市ガスの供給エリアとされています。電力の送配電網が日本全国をつないでいるのと異なり、ガスの導管網は地域ごとに独立した整備になっており、農村部・山間部などはプロパンガスが主流です。都市部でも、新興住宅地や郊外の一部では未敷設のエリアが残っています。

Q. 都市ガスは2017年に自由化されましたが、何が変わりましたか?

2017年4月のガス小売全面自由化により、家庭用を含むすべての消費者が供給会社を自由に選べるようになりました。ただし、導管(パイプライン)はエリアごとの一般ガス導管事業者が引き続き独占的に維持・管理するため、導管を利用できる会社自体は変わりません。電力会社や通信会社などが「ガス小売事業者」として参入し、セット割引プランを提供するようになったことが主な変化です。

Q. 都市ガスが使えない地域でプロパンガスを利用する場合、会社はどうやって選べばいいですか?

プロパンガスは都市ガスと違い、全国どこでも複数の販売会社が競合しています。引越し前に地域の相場を確認したうえで、3社程度から見積もりを取って比較することを勧めます。料金の透明性・24時間緊急対応の有無・契約解約条件の3点が選ぶ際の主な判断基準になります。2025年4月から料金の事前開示が義務化されているため、書面での料金提示を求めて比較してください。

ABOUT ME
GAS-TIMES編集長
過去にプロパンガス業界の仕事に長く従事。 その際の経験をもとに、消費者のみなさんにとって役立つ情報発信を行なっています。